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スペシャル
宝塚歌劇花組公演『マジシャンの憂鬱』『Jubilee(ジュビリー)』
永久輝せあさん・星空美咲さん 合同取材会レポート
2025年3月、ヨーロッパのとある国を舞台にしたミュージカル『マジシャンの憂鬱』と、宝塚の王道を楽しめる豪華なレヴュー『Jubilee(ジュビリー)』が博多座で上演される。主演は宝塚歌劇団の花組新トップコンビ、永久輝せあと星空美咲。11月28日(木)、二人そろっての合同取材会がホテルオークラ福岡で行われ、作品についてはもちろん、花組やお互いの魅力、博多座公演中に行ってみたいところなど、さまざまな話を明るく語った。
(取材・文/小野寺亜紀)
花組トップスター・永久輝せあと花組トップ娘役・星空美咲は、2024年7月にフラメンコも取り入れた情熱的な舞台『ドン・ジュアン』でプレお披露目を果たし、9月~11月にはファンタジックな『エンジェリックライ』と、このたび博多座バージョンとして登場するレヴュー『Jubilee』で宝塚大劇場でのトップコンビお披露目を果たした。その公演期間を終え、福岡の地にやってきた二人は、多くの報道陣を前に高揚した面持ちで壇上の席に着いた。
永久輝にとって博多座公演は雪組在籍時の『フットルース』(2012年)以来で、「当時の楽しい思い出がたくさんあり、いつかもう一度博多座公演に出演したいと思っていました。よく花組のメンバーともそういう話をしていましたので、出演が決まったときは、とても嬉しかったです」と明るく喜びを伝えた。星空は博多座公演に初出演だが観劇で訪れたことがあり、「ロビーも活気に溢れていて、とても素敵な劇場だと感じたので、そこで公演できることが嬉しいです」と目を輝かせる。
■大人っぽくシックでお洒落なミュージカルで、永久輝がマジックも披露!
フレッシュながら、歌・芝居・ダンスと三拍子の実力がそろう新トップコンビ。博多座で挑むのが、軽妙な会話に引き込まれる正塚晴彦作・演出の『マジシャンの憂鬱』だ。2007年に瀬奈じゅん率いる月組で上演され、今回が初の再演。初演を宝塚ファン時代にDVDで観たという永久輝は、「瀬奈じゅんさんの格好良さがとても記憶に残っています。再演が決まって改めて映像を拝見し、すごく大人っぽく、シックでお洒落な作品という印象を受けました」とコメント。「ヨーロッパの架空の国が舞台で、上流階級の人々が登場するなど、宝塚の華やかさや夢々しさを、衣装やお芝居の雰囲気からも感じていただけると思います」とアピールする。星空も「とても宝塚らしい、華やかなナンバーがたくさんある作品です」と魅力を語った。
永久輝が演じるのは、透視能力を持つと噂されるマジシャンの青年・シャンドールで、皇太子ボルディジャールから、皇太子妃の事故死の真相解明を依頼される。永久輝は「職業柄か、一枚ベールをかぶっているような神秘的な魅力を感じます」と役について述べ、燕尾服で颯爽と登場するミステリアスなキャラクターに、「今から取り組むのが楽しみです」と話す。また、注目のマジックシーンについて質問されると、「緊張すると手が震えるので、今からドキドキします(笑)。ただ、兄が学生時代、手品部に所属していたのでマジックに親近感があり、私もキットを買って練習していたのでマジックは好きです!」と打ち明けた。
シャンドールを護衛する立場となり、次第に彼に惹かれていくヴェロニカを演じる星空は、「ヴェロニカは皇太子妃の侍女で、言葉遣いがとても丁寧な女性という印象があります。そして“自分の命をかけても守りたい、守らなければ”という方がいる女性はどんな人物なのだろうと、演じるのがとても楽しみです」と、新たな役に意気込んだ。
■プロローグや中詰の客席降りで、テンションがアップするレヴュー
※写真は宝塚大劇場公演のものです
レヴュー グロリア『Jubilee(ジュビリー)』は、記念祭や祝祭を表す言葉=“ジュビリー”の通り、新生花組の誕生を祝うような多幸感に満ちたレヴュー。ノーブルな魅力をもつ永久輝がプリンス、美しい輝きを放つ星空がプリンセスとして登場するプロローグから豪華絢爛。作・演出の稲葉太地が、新たなスタートをきった花組にぴったりの華麗かつパワフルなステージを生み出した。永久輝は「まずプロローグがとても華やかで、私たちは白いお衣装を着ているのですが、ほかの皆はピンクの衣装を着ていて花組にぴったり。とても華やかで素敵なシーンです」と、レヴューの冒頭を見どころのひとつとして紹介した。
星空は「今回、クラシックの曲がどの場面でも使われ、現代風にアレンジされていたりします。伝統的な宝塚らしさもありながら、赤いお衣装のシーン(永久輝中心の男役群舞「Secret Garden」)のように現代的な場面もあります」と多彩な世界観を述べる。そしてスターたちが後方の客席まで駆け抜け、大劇場公演でも大いに盛り上がった客席降りについて、「中詰では博多座公演でも客席降りをさせていただけるようなので、博多の皆さまとの交流が楽しみです」と期待に胸を膨らませた。
また、公演中には星空の誕生日(3月25日)という“記念日”があり、永久輝が「お祝いしなきゃね!」と笑顔を向けると、星空は「今までで一番の誕生日にできるよう、楽しみながら精一杯努めたいです」と微笑む。花組の選抜メンバーで新たに届ける博多座バージョン。名曲「威風堂々」にのせての男役の黒燕尾群舞など、スタイリッシュな花組らしいレヴューが福岡、九州の人々の心を捉えそうだ。
※写真は宝塚大劇場公演のものです
■トップとして「花組とお客様を繋ぐ架け橋のような存在に」
合同取材会ではトップスターに就任した心境についての質問も多く投げかけられた。永久輝は、「お客様や組の皆の温かさを今まで以上に感じることが多く、自分にとっても驚きでした。組を代表していることも実感したので、花組とお客様を繋ぐ架け橋のような存在であらねばという思いを強く抱きました」と感慨深く話す。さらに「一度しか公演を観劇されないお客様もいらっしゃるので、絶対に忘れられない日になるよう、1回1回の大切さを特に意識するようになりました」とまっすぐな目で語る。
星空は、「ライトのまぶしさにまず驚きましたし、それに負けないだけのものを自分が持っていなければ、ということを学びました。組やスタッフの皆さんなど、たくさんの方のお力があって日々舞台に立てていることや、お客様からの愛を感じましたので、感謝の思いを忘れずにこれからも舞台を努めたいです」と、トップ娘役としての気持ちを口にした。
またお互いの魅力について訊かれると、永久輝は「この立場になって一番変わったのが、決まった“相手役がいる”こと。それはすごく特別だと感じていて、毎朝(星空に)『よろしくお願いします』と挨拶をするのですが、どんなときも明るく元気に挨拶を返してくれて、私はたくさん救われました。いつまでも元気でいてほしいです」と話すと、場内が温かい空気に包まれた。星空は永久輝について、「初めて共演させていただいた時から変わらず、心から尊敬している方です」と述べ、「私が不安なとき、真っ先に永久輝さんを見てしまうのですが、どんなときも目で『大丈夫だよ』とおっしゃってくださっている気がして。信頼している永久輝さんに、私も信頼していただけるよう、これからも元気よく頑張ってまいりたいです」と、多くの舞台で組んできた二人ならではの想いを明かした。
■7年ぶりとなる博多座花組公演。花組の魅力は「男役や娘役としての誇り」「温かさ」
花組の博多座公演は2018年の『あかねさす紫の花』『Santé!!』以来、約7年ぶりとなる。今の花組の魅力について永久輝は、「男役は“花男(はなおとこ)”、娘役は“花娘(はなむすめ)”と自分たちで名乗るように、男役であること娘役であることに誇りと自覚をもっているのが、花組の強みだと思います。そして明るく元気な子が多いので、それが舞台の華やかさに繋がっていると思います」と力強く語る。星空は「なんと言っても温かいところです。不安そうにしている花組生がいたら、皆さんが温かく声をかけ、アドバイスをしているところが本当に素敵です」と笑顔で述べた。
最後に博多座公演を楽しみにしている人へのメッセージを求められると、星空は「普段、なかなか宝塚大劇場へいらっしゃることができないお客様とも出会えると思いますので、宝塚歌劇の魅力をお届けできるよう精一杯努めたいです」とコメント。永久輝は「この機会に今の花組の魅力をたくさんお届けしたいと思っているので、ぜひ何度でも足を運んでいただければと思います。3月の博多座、少し暖かくなり緑が戻ってくる素敵な季節に、花組公演をお届けできるのが嬉しいです。1日1日その博多の空気を感じながら、楽しい気持ちで過ごしたいです」と、春の公演に思いを馳せた。まさに花組という“花”が咲き誇るステージとなるだろう。
その他の質疑応答
◆博多座公演中にやってみたいこと、楽しみにしていることは?
永久輝:福岡の観光本を今日も読んでいたのですが、美味しいものがたくさんあるので、ぜひ出演者の皆と終演後や休演日に出かけて満喫したいです。
星空:ガイドブックを拝見するなかで、福岡に「かがみの海」(※広大なビーチが鏡のように空を反射する福岡県福津市の名所)という素敵なところがあるのを知り、ぜひ行ってみたいと思っています。
◆2025年をどんな年にしたいですか?
永久輝:新しく出会う作品や役に対してワクワクとしたときめく気持ちを忘れず、新鮮な一年にしたいという気持ちが強いです。
星空:今演じているお役から「中庸に生きる」大切さを感じていて、物事を決めつけすぎず、目の前の瞬間を真剣に生きることを意識して過ごしたいです。